I
(1)五十音図ナ行第四段の仮名。 歯茎鼻音の有声子音と前舌の半狭母音とから成る音節。
(2)平仮名「ね」は「祢(禰)」の草体。 片仮名「ネ」は「祢(禰)」の偏。
II
(助動)
※一※〔打ち消しの助動詞「ず」の已然形〕
(助動)
※二※〔完了の助動詞「ぬ」の命令形〕
(助動)
III
(感)
親愛の気持ちをこめて, 呼びかけたり念を押したりするときに用いる語。

「~, そうでしょう」

IV
(接尾)
〔上代語〕
人を表す語に付いて, 親しみの気持ちを添える。 男にも女にも用いる。

「妹(イモ)な~が/万葉 1800」「な~, 汝命/古事記(中)」

V
(終助)
〔上代語〕
文末にあって, 動詞および動詞型活用の助動詞の未然形, 禁止の「な…そ」の「そ」に接続する。 他者に対して, その行動の実現をあつらえ望む意を表す。 …てほしい。

「ありねよし対馬の渡り海中(ワタナカ)に幣取り向けてはや帰り来(コ)~/万葉 62」「高円の野辺の秋萩な散りそ~君が形見に見つつ偲(シヌ)はむ/万葉233」

VI
〔近世江戸語以降の語。 「ねえ」の形でも用いられる〕
※一※ (終助)
文の末尾に用いられる。
(1)軽い詠嘆を表す。

「皆さん仲良しでいいわ~」「あら, すてきな洋服~」

(2)軽く念を押す気持ちを表す。

「ぼくの気持ちとは違うようだ~」「そんな気がします~」

(3)相手の同意を求める気持ちを表す。

「ほんとにあした来て~」「遅刻しちゃってごめんなさい~」

(4)(多く疑問を表す語と共に用いて)問いかける気持ちを表す。

「それはいったい何か~」「あの方, どなたでいらっしゃいましょう~」

※二※ (間投助)
文節の末尾に付いて用いられる。 語勢を添えたり, 声のつなぎとしたりするために, 適宜文節末にさしはさまれる。
(1)「町へ出て, それから~, 映画を見たんだ」「私~, その秘密知っているの」
(2)(「あのね」「だね(ですね)」「そうだね(そうですね)」などの形で)感動詞的に用いられる。

「あの~, お願いがあるの」「そうだ~, やっぱり難しいな」

VII
ね【値】
(1)物の売り買いに際しての金額。 値段。 あたい。 価格。

「~が上がる」「~をつける」

(2)ものの価値。 ねうち。

「男の~を下げる」

~がで・きる
売り手と買い手の折り合いがついて, 取引が成立する。
~が張・る
値段が高い。 高額である。

「純毛だと~・る」

~を戻・す
安かった値段が, 従前の程度まで回復する。
VIII
ね【子】
(1)十二支の第一番。 年・日・時刻・方位などにあてる。 ねずみ。
(2)昔の時刻の名。 現在の午前零時頃。 また, 午後一一時から午前一時まで。 または午前零時から午前二時まで。
(3)方角の名。 北。
IX
ね【寝】
ねること。 眠り。

「~が足りない」

X
ね【嶺・峰】
山の頂。 みね。

「~に立つ雲を見つつ偲はせ/万葉 3515」

XI
ね【根】
(1)維管束植物の基本的な栄養器官の一。 普通地中に伸びて, 植物体を支持し, 水や養分を吸収する。 また, 物質の貯蔵にも働く。
(2)生えている物, さしてある物の, 土・皮膚などの中にはいっている部分。 物のもとの方の, 他の物にしっかり付いている部分。

「歯の~」「腫(ハ)れ物の~」

(3)その結果を導いた原因・理由。 もと。

「対立の~は深い」「二つの事件の~は同じだ」

(4)人の本来の性質。

「~が明るい」「~は良い人なんだが」

(5)髪を一つに束ねて, 髷(マゲ)の土台とするところ。
(6)釣りなどで, 海底の岩礁帯。 魚礁。
(7)名詞の下に付いて, 複合語をつくる。 (ア)地上に立っている, 生えている, の意を表す。

「岩~」「垣~」「草~」(イ)語調を整えるのに用いる。 「杵(キ)~」「島~」

~が生(ハ)・える
その場を動かないことをたとえた語。 腰をおちつける。

「~・えたように動かない」

~に持・つ
いつまでも恨みに思って忘れないでいる。
~も葉もな・い
なんの根拠もない。

「~・いうわさ」

~を押・す
深く立ち入って確かめる。 念を押す。

「時政なほも~・して/浄瑠璃・吉野忠信」

~を下(オ)ろ・す
植物がしっかりと根づく。 転じて, 新しい物事が世の中に受け入れられて定着する。
~を絶(タ)・つ
悪弊などを, 根本から除き去る。
~を生(ハ)や・す
どっかりと座って, 簡単には動かない。
~を張・る
新しい考え・風習などが受け入れられ, 安定した状態になる。 また, 勢力を得る。
XII
ね【音】
(1)人・鳥・虫などの発する音声を, 情緒的にとらえていう。

「虫の~」

(2)物の発する快い響き。

「鐘の~」「笛の~」「楽の~」

~に立・つ
声をたてる。 声に出して泣く。

「~・てて鳴かぬ日はなし鶯の昔の春を思ひやりつつ/後撰(哀傷)」

~に泣・く
声に出して泣く。 音(ネ)を泣く。 泣く。

「うぐひすの~・きぬべき恋もするかな/古今(恋一)」

~を上・げる
もう耐えられない, という。 悲鳴をあげる。 弱音を吐く。

「きつい練習に~・げる」


Japanese explanatory dictionaries. 2013.

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